パリの魚屋の店頭を飾る一群として、サケ・マスの仲間がいます。特にサケは養殖物・天然物が様々な国から輸入されており、店頭を賑わしています。マスも、日本でもおなじみのニジマスをはじめ、様々なマスが店頭に出ています。

サケ科の魚は、イワナ属、イトウ属、太平洋サケ属、大西洋サケ属など9属70種に分けることができますが、一般に欧州のサケ・マスは大西洋サケ属（salmo属）、日本のサケ・マスは太平洋サケ属（Oncortynchus属）と、別属の魚です。ただ、ニジマスなどは世界中に移植されているため、その分類も諸説あり、現在では太平洋サケ属に含むのが一般的ですが、図鑑によっては大西洋サケ属の学名を冠したものも見られます。

サケ・マスの仲間は産卵を川で、幼少期を海で過ごすものが多いのですが、淡水域で一生を過ごす種もいます。また、同じ種でも、淡水生活型と海洋生活型で別の名前（例えばニジマスとスチールヘッドトラウトなど）がついていることがあります。

なお、サケ・マスについては近似種、亜種が多く、今のところ調査不足で、十分な情報を提供できません。まあ、どんどん食べてみるしかないですね。但し、サケ・マスには、アニサキス(サバの項参照)がいる可能性があるので、生食する場合は気をつけましょう。家庭で食べる場合、マスは生食はせず、サケは燻製の物か、冷凍物の解凍品（ルイベ）を食べておいた方が無難かもしれませんね。

ジュネーブでは、イワナの仲間のOmble chevalierが良く売られています。オレンジ色の斑点が見える、とても美味しい魚です。この魚はOmbleの仲間で、仏日辞書などではキタイワナといった名称が書かれていますが、この名称ではOmbleの一般名称に近くなってしまうので、Omble Chevalierを指す場合は、「アルプスイワナ」を使う方がよいでしょう。 なお、Omble fｒais の名札で、Omble chevalier　の隣に別のOmbleが売っていることがあるのですが、fraisは、単に新鮮という意味なので、この魚種は不明です。

アルプス近辺のダム湖のいくつかには、北米から移入されたCristivomerが定着しており、Omble gris, Omble d'amériqueと呼ばれることもあります。これもイワナの仲間で、釣りの対象とされていますが、もしかすると、Omble fraisとなっている場合は、これかも知れません。オレンジ色の斑点が無い灰色のOmbleなら、この可能性が高いでしょう。

イワナに近いティマルス属のOmbreも流通しているようですが、まだ見たことがありません。

ちなみに日本のイワナはSalvelinus leucomaenisに属する亜種4種（アメマス、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギ）です。

Ombleの仲間