エビは日本では魚介類の中では高級食材に位置しますが、パリでは魚屋の店頭の20〜30％をエビが占めることもあるほど、多くの種類が大量に売られています。しかし、実はパリ近海ではあまり大型のエビは捕れず、店頭のエビの大部分は輸入物だといわれています。

最も一般的なのが、Crevette roseの名で売られている赤い10センチ程度のエビで、ゆでた物と、生のものが売っていますが、生の場合も基本的には冷凍の輸入物です。値段も安く、様々な料理に使うことができます。但し、生で食べるのは無理でしょう。これよりサイズが大きく、赤味が少ないものはGambasの名前で売っています。

秋に運がいいと、このエビと同程度のサイズのエビでクルマエビに酷似したエビが生きた状態で売っていることがあります。Gambas　Vivante（活きGambas)の名札がついていることが多いようです。このエビであれば生きていますので、生食も可能です。最近は日本種のクルマエビもスエズ運河を通って地中海まで生息地を広げたらしいので、パリの魚屋で見られるかもしれません。

少しサイズの小さいBouquetが活きて売られていることもあります。全長５センチほどなので、刺身にするにはちょっと小さいのですが、どうやって食べるのが美味しいでしょうね。

また、春と秋にはCrevette griseｔ呼ばれる灰色の小型のエビが活きた状態で販売されていることも良くあります。このエビはフランス沿岸に生息するエビで、海岸地帯の岩場でも簡単に捕獲することができます。小型なので生食は無理ですが、鮮度の良いエビでかき揚げなどをつくりたい時には良い選択でしょう。

パリの魚屋の店頭を飾るエビのもう一群が、Langoustineです。いわゆる手長エビで、サイズによって大きく値段が異なりますが、ほぼ一年中店頭で見ることができます。春から夏にかけてが一番安く手に入るようです。残念ながら腕の部分の身は労力の割りに食べるところが少ないので残念ですが、尾の部分の身はかなり美味しく、イセエビの感触です。

もちろんパリでも、イセエビの仲間（Langouste）やロブスター（Homard）も見ることができますが、値段が高く、気楽に買える食材ではありません。特にイセエビは年末になると値段が急騰するようで、日本と同じですね。

これ以外に、ザリガニの仲間のEcrevisseも夏から秋に店頭に出ていますが、これもエビと同じように塩茹でにして食べるようです。フランス料理のメインの添えなどに良く出てきます。

シャコ（Cigale de mer）は滅多に見ることが出来ませんが、稀にエビ屋さんの店頭で見かけることがあります。イタリアでは店頭でよく見かけます。オキアミも流通しているようですが、多分加工して売られるので、魚屋の店頭で見ることはないでしょう。

ジュネーブでは、スーパーで、Crevette　(géante) 　d'eau douce　という販売名のエビを見ることがあります。géanteは省略されて、 単に淡水エビとなっていることもあります。このエビはアジア原産の手長エビの仲間で、日本名「オニテナガエビ」があります。手の先まで入れると30センチ以上ある大型の手長エビですが、通常のエビと同様火を通せば美味しく食べられます。

Crevette　(géante) 　d'eau douce