2002年4月20日 土曜日 イシモチ発見

二週間ぶりのベルサイユ

今週末は娘が春休み中で、友達とディズニーランドに遊びに行くそうです。ということで、パパは運転手の役目を仰せつかってしまいました。娘には勝てませんので(笑)、朝8時15分に自宅を出発し、9時前にディズニーランド前に到着、娘達を降ろしてそのままベルサイユに直行します。30分でベルサイユに到着。今まで来たことのない早い時間に市場に到着しました。

魚屋はちょうどオープンしたばかりという感じで、まだお客さんはほとんどいません。早速全部の店を見て回ります。

今週は、まだウニが店頭に出ていました。去年は4月に入るとばったりとウニが店頭から消えたのですが、今年はまだ売られているところを見ると、ウニの産卵が遅れているのでしょう。ということは、水温が低いのでしょうか。

さて、いつもの魚屋さんで、珍しいものを発見しました。シャコです。シャコが売られているという噂は聞いていたのですが、実際に売られているのを見たのは初めてです。早速1キロ購入します。

直後に来た別のお客さんも購入していましたが、全部で3キロくらいしかなかったので、三人が購入すると、もう売り切れですね。朝早いからこそめぐり合えた新種かもしれません。図鑑にもシャコの写真とデータを追加しました。

さて、同じ魚屋で、魚の方を探すと、ついに発見しました、イシモチです。一月以上前に店頭ではじめて発見し、2キロも買ったのに、持って帰るのを忘れてしまい幻となっていたイシモチが、久々に店頭に出ていました。前回の名札はbar françaisでしたが、今回はbar friture ですから、唐揚用スズキという感じでしょうか。

イシモチは日本では魚屋ではあまり見ない魚です。東京の魚屋などでは時折売られており、塩焼きで食べるのが普通です。但し、日本のイシモチは、大きく二種類あり、東京湾などで船釣りで釣れるイシモチ(シログチ)と、九十九里浜以北の砂浜で釣れるイシモチ(ニベ)とは別の魚なのです。ニベは塩焼きだけでなく、刺身や干物もすごく美味しいのです。パリのイシモチは、外見的にはニベの方に似ているので、今回はこのイシモチで干物を作ってみようと思い、早速、一キロ買って帰ることにしました。

あとは、帰り際にムール貝2リットルとウニ1キロを買って終りにしました。

シャコの塩茹で

さて、自宅に帰り、まずイシモチの開きを作りました。開きの作り方は前回ご紹介したとおりです。前回はちょっと塩加減不足という感じでしたが、イシモチはアジに比べて淡白な白身なので、塩が効きやすいため、塩加減は前回と同じ3%にしました。

で、夕食のおかずはシャコとムール貝です。

シャコは、単純に塩茹でにしてみることにしました。シャコは死ぬと身が柔らかくなり始めるので、できるだけ早くゆでた方が良いのです。

元々我が家はシャコが大好物で、日本でもわざわざシャコを釣りに良く出かけていました。あゆみはシャコ釣りの名人?で、シャコだけを狙って釣るのです。

で、家に帰るとシャコの皮剥きはパパの仕事で、家内と娘は身が出てくるのを待つだけなのですが、今回のシャコはちょうど産卵期の終りだったらしく、身が異常に柔らかい個体が多くて身を取り出すのに苦労しました。シャコは日本でも産卵期の直後は身が柔らかくなり、同様の状況となるのです。2〜3ヶ月して、身が堅くなった頃にもう一度食べたいですね。

ムール貝は家内がワイン蒸しにしました。いつもよりちょっと塩味が強かったのはなぜでしょう。当然塩は入れていませんので、貝の内部にあった海水の塩分が濃かったということでしょうか。

ムールとウニの刺身スパゲッティ

さて、恒例の日曜の昼のパスタは、前日残しておいたムールと、ウニを使うことになりました。

今回買ってきたウニは、いつもと同じ、キロ9ユーロの、一番安いレベルのウニだったのですが、開けてみるとすごく身が詰まっており、はずれの固体も全くありません。一キロのウニからこれだけたくさんの良いウニが取れたのは初めてです。

あまりに良いウニなので、つぶしてスパゲティに混ぜるのが勿体ない感じです。

「今回のウニ、刺身で食べたほうが良かったかも。」

「じゃあ、わさびと醤油でスパゲッティにしてみる?」

「ええ? それは美味しくない気がする・・・」

「じゃあ、身をつぶさないで作ってみましょ。」

ということで、家内がエシャロットをバターで炒め、ムールとその蒸し汁で味付けをしてスパゲッティを作ってくれました。

「今回のスパゲッティは、ウニの刺身スパゲッティと命名しましょ。」

ということで、ウニがすごく美味しいスパゲッティができました。でも、あゆみさんにはイマイチ不評です。

「やっぱり一番最初に作った、生クリームのウニスパゲッティが食べたいよう。来週もウニが売ってたら、絶対買ってきてね。」

「生クリームは太るぞ。」

「いいの。月に一回ならいいでしょ。」

ということで、来週もウニスパゲッティになりそうです。

日曜夜はイシモチの開き

日曜日はお客さんが来ていたので、夕食のおかずに一度も食べたことのない魚の干物を出すのはちょっと抵抗があったのですが、干物の出来はすごく良かったので、出してみることにしました。

前回、アジの干物を「魚焼き器」で自動で焼くと少し焼きすぎになることが分かったので、今回は少し短めに焼きました。出来上がったイシモチの干物の味は、日本で作ったものと全く同じで、すごく美味しい干物になっていました。

やはりイシモチは干物が一番ですね。イシモチの身は少し柔らかいので、そのまま塩焼きにするより、干物にした方が、味もかなり良くなります。ぜひ皆さんも試してみてくださいね。

ところで、最後に一つだけ、マニアチックな報告です。

パリのイシモチ(Ombrine)は、実はイシモチではありませんでした。 と、これだけ書いてもほとんど誰にも意味が分からないと思いますが・・・実はイシモチの名前の由来は、この魚が大きな耳石を持っているからなのです。この魚、頭の両側、魚にとって耳に当たる部分に、数ミリの石(実際には骨?)を持っていて、塩焼きや干物にすると、この石が出てくるのです。

しかし、Ombrineには、大きな耳石はありませんでした。これだけ外観が似ているのに、不思議ですね。やはり大西洋と太平洋の魚は進化の過程が異なるのでしょう。

ということで、この魚、イシモチというのはちょっと抵抗があります。日本では、釣ったときに空気袋を使って音を出すのが愚痴に聞こえるので、グチと言う呼び名もかなり一般的なのですが、この魚が愚痴を言うかどうかは、釣ってみないと分かりませんね。

さて、来週は何が出てくるかな。

ではでは。