2002316日 土曜日 2日間魚尽くし

(今週の日誌はすごく長いので、タイトル付です)

今日は魚教室

先週はイシモチを魚屋に忘れて帰るという大失策をしてしまったので、今週はイシモチがあれば、絶対に買うつもりです。それ以外の購入予定はBarです。実は、今日は午後から、お料理の先生を自宅にお招きしてのお料理教室で、Barの料理を習う予定なのです。

フランスのBarは日本語ではスズキと呼びますが、私の魚図鑑をご覧の方はご存知の通り、日本のスズキとはかなり違う種で、身も柔らかいので、日本のスズキと同じような食べ方が似合わないのです。そこで、フランス料理を基本とした、スズキ料理を習おうということになったわけです。

「ママ、今日はBarを買ってくればいいんだよね。」

「うん。オーブンに入るサイズのやつね。」

「1匹でいいの?」

「サイズが小さかったら二匹でもいいけど」

「あゆみは他に欲しいものある?」

「あのね、ウニ買ってきて。で、日曜にウニスパゲッティ作って。」

「ああ、そうだね。ウニはもう終りだからね。」

「うん。ウニ食べておかなくっちゃ。」

ウニは、確かに3月一杯で店頭から消えてしまう可能性が高いので、食べるなら今のうちです。飽きたと言いながらも、やっぱりウニが好きなあゆみです。

ベルサイユのマルシェへ

さて、ベルサイユのマルシェ到着は10:30頃。塩タラコが作りたかったので、まず1軒目でタラコを探しますが、今日のタラコは質が悪く、量も少なかったので、塩タラコには向いていないと判断し、購入は断念します。

2件目、いつもの魚屋で、先週のイシモチを探しますが・・・・残念、今週はイシモチは売っていませんでした。イシモチ食べたかったよ〜〜と叫んでみても、後の祭りですね。悔しいなあ・・・

でも、この店には、今日も珍しいものが幾つかありました。

まず、エイとウナギ。エイは珍しくはありませんが、これだけ沢山売ってるのを見るのは初めてです。

このエイは、Raie boucléeという、身が赤い種類のエイで、皮を剥がして売られていることの多いエイです。身の部分が薄いので、煮つけより焼く方が向いているでしょう。

ウナギの方は、カルフールやオーションなどのスーパーでは売られているのを良く見かけるのですが、ベルサイユで売られていたのは初めてです。

カルフールなどで売られているのよりずっと大きく、食べがいがありそうでした。値段はキロ15ユーロでしたので、日本に比べると、それほど高いものではないですね。1匹しかいませんでしたが、1匹だけ仕入れたとは思えないので、多分最後の1匹なのでしょう。

さて、いつも通り、他の店も見て廻ろう・・と思ったのですが、突然、あるものが目に入り、足が止まります。マグロのトロです。

冬の間はマグロのよいものがあまり出ないので、トロどころか、普通の赤味でさえ、なかなか美味しそうなものにめぐり合えなかったのですが、今日のマグロは久々に大型です。そして、そのマグロのトロの部分が、完全に切り取られ、別売りで売っているのです。

私は、本当はマグロは輪切りで買って、トロと赤味をバランス良く楽しむのが好きなのですが、久々にトロだけを買うのもいいかなという気になりました。そうなると、これを見逃して、他の魚屋さんを見に行くわけには行きません。早速お店の人にお願いして、このトロを半分に切ってもらい、購入しました。

トロを買うついでに、他の買い物も済ましておこうと、Bar(スズキ)も買います。スズキは、今日は鮮度がイマイチだったのですが、今日は刺身で食べるわけではなく、火を通す予定だったので、少しくらい鮮度が悪くてもよいと判断しました。

トロとスズキを買って、とりあえず一安心、C'est tout. と言おうとした瞬間に、また別のものを発見します。 fois de lotte(あん肝)です。あん肝は、カルフールでは時々売っているのを見ますが、ベルサイユではなかなか発見できないものの一つです。早速、500g買うことにしました。値段はキロ8ユーロでしたので、日本に比べるとかなり安いですね。

さて、買い物も一段落ついたので、他の魚屋を見て廻ることにしました。

いつも長蛇の列ができている魚屋でも、面白いものを発見しました。まず一つは、soupe de poisson 用の雑魚の中に紛れ込んでいた、Demoiselle(別名Cépole)です。日本ではアカタチと呼ばれる魚の仲間で、太刀魚に似ていますが、太刀魚とは別の種類の魚です。

この雑魚の山には、他にも見たことの無い魚が入っていそうでしたが、わざわざ買って帰るほどのものではないので、写真だけ撮ってきました。

もう一つ、これまであまり見たことの無かった魚が売られていました。それが右の写真の魚です。

一瞬サワラやブリの仲間のようにも見えるのですが、顔つきが違います。で、名札を探してみると、この魚、Colinとなっていました。つまり、タラの仲間のLieu noirです。 これまで、Lieu noirは何度も店頭で見ていたのですが、ここまで大きいものをみたことが無かったので、分りませんでした。確かに、Lieu noirだと思ってみると、その通りです。

しかし、ここまで大きくなったLieu noir、どうやって食べるのでしょう。やっぱり輪切りにして、焼いてソースをかけるのでしょうね。あまり美味しそうに思えないので、触手が動かない魚ではあります。

このお店で、ウニを買いました。ウニは、今日はウニスパゲッティにすると言っていたので、幾つかの店を見て廻って、一番安いものを買うことにしていたのです。この店には、キロ10ユーロのウニと、キロ8ユーロのウニがありましたが、鮮度の差はほとんど無く、どうも大きさの小さいものを安く売っているようです。ということで、今日はこのキロ8ユーロのウニを1キロ買って帰ることにしました。

ところで、いつも思うのですが、パリの魚屋さんの魚の展示は、遊び心がありますよね。今日も、レモンを咥えたRascasseや、Barを咥えたMérouなどが、幾つか店で展示されていました。あのMérouに咥えられているBarも、そのうち売り物にされるのでしょうか・・・・・

さて、全ての魚屋を見終り、今日買ったものを考えてみると、明日の夕食のおかずが不足しそうです。そこで、もう一度、一番好きな魚屋に戻り、店頭を見渡したところ、小型のRascasseが目に入ります。(写真左)

このRascasse、通常売っている大型のRascasseとは多分別種で、深海系のカサゴです。日本のキンキ(キチジ)に良く似ていますが、身が少し堅く、キンキほど脂っぽくありません。でも、煮付けにすると、すごく美味しいのです。

早速このRascasseを6匹(我が家は三人なので一人二匹)買って帰ることにしました。6匹で5ユーロ弱ですから、これも安い魚です。

帰り際、また面白いものを発見しました。右の写真です。一見タコのようで、私もタコだろうと思い込んでいたのですが、タコとは違う名札がついています。

名札の表示は Tétes D'encornet です。フランス語ができない私でも、encornetはイカだと分ります。つまり、これはイカの頭の部分だったのです。

やはりフランスでも、イカは甲の部分が高く売れるようで、頭はあまり人気が無いのでしょう。頭だけが切り離されて、箱の中に入れられているのでした。

先週のアンコウの頭に続き、二週連続、「頭」の販売を見てしまいました。

オートーユのマルシェ

さて、ベルサイユのマルシェから帰ると、ちょうど家内が、野菜を買いにオートーユのマルシェに行くので付き合えと言います。で、久しぶりにオートーユのマルシェを覗いて見ることにしました。

いつも通り魚屋さんは2軒出ていますが、時間が遅かったこともあり、あまり多くの魚はありませんでした。やはりベルサイユに行った後だと、ここの魚屋の品揃えでは少なすぎて、楽しめません。

ところで、パリで魚を買うと、多くの人は、フィレにしてくれと魚屋さんに頼みますよね。魚屋さんは、ナイフのような包丁で、手際よく、カレイやヒラメ、シタビラメなどを卸していきます。

オートーユのマルシェでも、若いお兄さん(左の写真)が、ヒラメやカレイを三枚おろし(小さいものは五枚卸ではなく、三枚にしてた。)にしていたのですが・・・見ていると、卸した後に残る頭・中骨・縁側部分、そして、カレイの卵などは、全部捨ててしまうのです。勿体無いですよねえ・・・・

思わず、私に下さいと言いそうになりました(笑)が、さすがに、他の人が買っている魚の「あら」だけを貰って帰るわけにはいかないので、涙をのんで諦めました。(^^;;;

お料理教室

さて、午後は日本人のお料理の先生を招いて、第二回お料理教室です。第一回は二月に、私が鳥の丸焼きを、あゆみがケーキの作り方を習ったのですが、今日は家内がスズキのお料理を、娘がBabaの作り方を習うことになっています。

で、完成写真は以下の通りです。家内の習ったスズキ料理のソースは、Beurre Blanc Classicという名前のソースだそうで、スズキの塩焼きとピッタリ合って、すごく美味しかったです。レシピは先生の企業秘密なので、公開できませんが、ご興味のある方は、先生をご紹介しますので、ご連絡くださいね(笑)。

あゆみのBabaもすごく美味しくできました。ラム酒をたっぷり使ったので、食べたあと、家族三人、ぐっすり昼寝をしてしまいました(笑)

 

あん肝とマグロのトロ

土曜の夕食は、上で作ったスズキのBeurre Blanc Classicソースがメインなのですが、これと一緒に、マグロのトロと、あん肝の酒蒸しを作ることにしました。

マグロのトロは、このくらいのサイズになると、場所によっては脂肪の厚みが1センチ以上あるので、まず皮を剥ぎ、脂肪をきれいに取り去ります。内側の薄皮もきれいに剥がして、あとは刺身状に切るだけです。

今回のマグロは大きく、トロだけでも相当な量があったので、一日目は半分だけ食べることにしました。

マグロは日持ちがするので、新鮮なものであれば一日くらいならラップに包んで冷蔵庫(できれば氷温室)に入れておけば、次の日の刺身として十分食べることができます。さすがに今回のトロはすごく物が良く、あゆみが大喜びで食べていました。

あん肝も、煮付けやあん肝豆腐など、色々な食べ方がありますが、今回は簡単に酒蒸しにして食べることにしました。左の写真で、ちょうど買ってきた量の半分(250g)です。

あん肝の酒蒸しは、多くのホームページで作り方が紹介されていますので、探すと簡単に見つかると思います。

今回我が家では、

@ あん肝を崩さないように洗い、水気をふき取る。

A 塩を軽く振り、キッチンペーパーに包んで一時間くらい寝かせる。(これで臭みを取る。)

B お酒の中に漬けて一時間置く。

C お酒に漬けたままラップをして電子レンジで2分〜3分暖める。破裂する音がしたらやりすぎ。

D 冷やした後、薄切りにしてポン酢で食べる

という、ごく簡単な作り方で作りました。臭みの取り方は、他にも色々あると思います。酒で洗ってもよいし、塩水に漬けても良いかも知れません。

本当は、Cで電子レンジを使う代わりに、ラップで包んで蒸し器で「蒸す」のが正しい作り方です。蒸すかわりに、「茹でる」でも代用できます。確かに電子レンジではなくちゃんと蒸した方が美味しいとは思うのですが、電子レンジだと、すごく手軽ですよね。

一年ぶりに食べたあん肝の酒蒸しは美味しかったですよ。

ウニスパゲッティ

日曜の昼は、予定通りウニスパゲッティに挑戦です。

ウニは前日のうちに中身を取り出して、冷蔵庫に保存してあります。この一番安いウニ、2個ほど、中身が完全に空のものがありましたが、中身がたっぷり入っているものも多く、値段のわりには、まあまあの量が確保できました。

ただ、さすがに先週のものと比べると、圧倒的に質が落ちます。やはり刺身でウニを食べるなら、少し高くてもよいウニを買ったほうがよいのかもしれませんね。

ウニスパゲッティの作り方も、多くのホームページで紹介されていますが、今回我が家が採用したレシピは、以下のページにあります。このレシピを我が家にある材料で家内が工夫して、トマトピューレの代わりにケチャップを使い、味を調えて作りました。

http://homepage.mac.com/maruex/unipage.html

もっとイタリア風にしたい場合は、バターを使わず、オリーブオイルを多めに使うような、以下のページの作り方もよいと思います。

http://www.miomare.ne.jp/cooking/recipe/pastamenu/pasta_etc/etc05.html

いずれにせよ、このウニスパゲッティは、出来上がりの「あつあつ」のところを食べるのがポイントです。冷めると臭みが出て、味が落ちると思います。

これ、すごく美味しくて、大好評でした。あゆみ曰く、

「ウニの刺身は飽きたけど、これはすごく美味しい。来週もこれ作って。」

だそうです。

ちなみに、生クリームはもう少し少なめにして、塩味を少し強めにすると、もっとウニの味が良く出て良いかも知れません。あと、麺は必ず固めに茹ででおくことが必要です。ウニと和えている間にもゆだっていくので・・・・

キンキの煮付け

最後に残ったのが、Rascasseです。キンキとは別物ですが、キンキに似ているので、我が家ではキンキと呼んでいます。

この魚、実際にはキンキより実が堅く、崩れやすいので、煮物にしても皿に盛るのが難しい魚です。

煮汁は、少し薄味で、とろみの少ない汁の方が、この魚には合います。今回も、娘と共同戦線をはって、

「ママの秘伝のタレが食べた〜〜い」

と叫び、家内に煮つけを作ってもらいました(笑)。Rascasseは、日本風の煮つけですごく美味しく食べることができますので、ぜひお試しください。

ちなみに、この日は、前日のトロの残りも食べました。写真のように、すごい量だったのに、美味しくて、三人で全部食べてしまいました。

「パパ、来週もトロ買ってきて。」

「こんなの、毎週食べてたら、太るよ。」

「でも、美味しいんだもん。」

「来週は、もっとサッパリしたものにしようよ。」

「じゃあ、来週もウニスパゲッティね。ママ、いいでしょ?」

「来週はタラコスパゲッティにしない? パパ、タラコが売ってたら買ってきて。」

ということで、来週はタラコスパゲッティかな。今週は思いっきり魚尽くしの週末でした。

ではでは。また来週(笑)